日本製鉄九州製鉄所大分地区の工場で、溶鋼鍋内から人骨のようなもの発見されたというニュースが報道されています。
なんとも痛ましい事故ですよね…
人骨が見つかった溶鋼鍋は、直径約5メートル、深さ約4メートルで、内部の温度は1000度以上と見られているそうです。
溶鋼鍋は、ようこうなべと読みます。
想像しただけでも背筋が凍る思いです。
亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。
落下したとされる溶鋼鍋とはどんなのもなのか、
1000度以上の溶鋼の中に人体は落下した場合、人骨は溶けないものなのか気になったので調べてみました。
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溶鋼鍋(ようこうなべ)ってどんなもの?
報道ニュースによると、直径約5メートル、深さ約4メートルの溶鋼鍋だったとのこと。
溶鋼鍋は溶銑鍋ともいい、高炉より出銑した溶銑や、転炉から出鋼した溶鋼を次工程へ運搬する鍋のことを指します。
※ダイヤモンドエンジニアリング株式会社様より画像をお借りしました。
今回事故のあった現場では、自動車部材などに使う熱延鋼板、船舶用の建材や橋の構造部材に使う厚鋼板などを生産されていたようです。
溶鋼鍋(ようこうなべ)で人骨は溶けない?
結論からいうと、溶鋼鍋で人骨は溶け切らないと考えられます。
骨はの約60%を占めている成分で、リン酸カルシウムという物質があります。
このリン酸カルシウムの融点は、1670℃です。
融点とは、固体が液体になり始める温度のことです。
火葬をすると骨が残りますが、そのほとんどがこのリン酸カルシウムです。
基本的に鋼の溶解温度は1600~1670℃程度ですが、今回の報道では、溶鋼鍋の内部の温度は1000℃以上だったと言われています。
骨がどの程度残っていたかは定かではありませんが、溶けきるには完全にリン酸カルシウムの融点を超えていたうえで長時間かかると考えられます。
人の骨は何度で消失する?
火葬では、あえて骨を残すために800℃~1200℃の温度と言われています。
実は骨壺の遺骨は、いずれ消失していまうのをご存じでしたか?
先述したリン酸カルシウムは、融点は1670℃なのですが、骨壺内の水分と反応すると、ゆっくりと分解されていくようです。
周辺環境にもよりますが、完全に溶けてしまうまでは約50年~100年ほどといわれています。<参考:墓石コネクト>
溶鋼鍋落下事故は過去に何度も
2012年5月にも、愛知県西尾市吉良町の自動車部品製造「アイシン高丘」の吉良工場で、溶解炉の中に人骨の一部を発見したというニュースが報道されています。<日本経済新聞より>
こうした工場の現場では、危険と隣り合わせであることが多く、このような痛ましい事故が二度と同じことが起こらないような仕組みを作り、働いてくださる方の安全を第一に確保してほしいですよね…。